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特別縁故者による相続財産分与の申立てが認められた事例

 亡くなられた方に相続人がいない場合、亡くなった方と特別の関係があった方(特別縁故者)に対して相続財産の分与が認められることがあります。例えば、亡くなった方の内縁の夫・妻や、亡くなった方の介護や財産管理に尽力した方などが特別縁故者に当たるとされています。

 依頼者であるAさんは、亡くなられたBさんの叔父(父親の弟)でしたが、Bさんのご両親が亡くなられた際、Bさんに依頼されてお墓の建立の手配をしたほか、遠方に住むBさんに代わって、Aさんの妻が毎日お墓参りをしてお墓を清掃して花を供えるなどし、法事の手配も行ってきました。また、Bさんが亡くなった際にも、葬儀や納骨、法事の手配等を行いました。Bさんには相続人がいなかったため、親族の代表者が相続財産管理人選任の申立てを行ったところ、相続財産管理人から申立人に対し、特別縁故者に該当する者がある場合には3か月以内に申し立てを行うよう通知がありました。そこで親族間で話し合ったところ、Aさんが特別縁故者に当たるのではないかということになったため、Aさんの息子さんが当事務所にご相談に訪れました。

 ご相談を受けてから特別縁故者の申立て期限まで1か月弱しかありませんでしたので、弁護士2名体制で申し立ての準備を行い、Aさんの居住する地方におけるお墓参りの風習についての資料や、Aさんご本人、奥様、その他の親族の方の陳述書などの証拠資料を揃えて期限内に申し立てを行いました。申し立てから約1か月後に家庭裁判所の審判がなされ、Aさんに対して800万円が分与するとの決定がなされました。

 本件は、亡くなられた方の介護や財産管理を行うなどの典型的な特別縁故者の事案ではありませんでしたが、AさんとBさんの交流の状況やお墓参りの風習などの具体的な事情を丁寧に立証したことにより特別縁故者であると認めてもらうことができました。このように、特別縁故者に当たるかどうかは一律に決まるものではなく、具体的なご事情によりますので、お心当たりのある方はぜひ一度ご相談ください。

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